あなたがほしいものは何?

「ほしいものは、本当は持ってる。気がつかないだけ……」
娘が保育園のお遊戯会で「オズの魔法使い」の劇を行うことになり、家でよくこのフレーズを口ずさんでました。
私もこの歌詞がとても気に入ってしまい、オズの魔法使いの本を改めて読んでみることにしました。

この本のあらすじはこうです。
アメリカのカンザス州で農業を営む伯母夫婦と一緒に暮らすドロシーは、巨大な竜巻に巻き込まれて、異次元の世界、オズの国へ紛れ込んでしまいます。
そこで出逢った、かかし、木こり、ライオンたちと友情を交わしながら、何でも願いをかなえてくれる魔法使いの「オズ」を捜し出す旅を続けます。

かかしは脳みそ(知性)を、ブリキは心臓(心)を、ライオンは勇気を、それぞれ魔女から与えてもらいたいと思っていました。
しかし、大変な冒険の末、魔法使いはインチキだと分かり、結局それぞれがほしかったものを魔法使いに与えてもらうことはできなかったのです。

でも、果たして本当にほしいものが手に入らなかったのでしょうか?
冒険の最初から、脳みそがないはずのかかしが知恵を絞って解決策を思いついたり、心臓がないはずの木こりが号泣したり、勇気がないはずのライオンがみんなを助けたりしている。

つまり、ほしいと思っていたものは、最初から持っていたのです。
それなのに、そのことに気づかなかっただけなのです。

自分に足りないと思っているものを、誰かに与えてほしいと思ったり、それが手に入らないから踏み出せないのだと思ったりしてしまう。
そんなことって、ありませんか?

なぜ、そんなふうに思うのでしょうか?

不完全な状態では闘えない。そんなふうに思っているからではないかなぁと、私は思います。
「完全と思える状態になったら自信がつくのだ。だから、そうなってからじゃないと、駄目なんだ。」

しかし、完全な状態になるということ自体が、不可能なことなのではないでしょうか。
人間は誰だって、何かしら足りない部分があります。全てを完全に備えている人などいないですよね。

だから、そのことを受け入れて、不完全な自分を晒して行動することが勇気であり、その結果として「自分なら困難にも立ち向かえる」という自信がつくのではないかと私は思っています。