やさしい言葉を交換しよう

「やさしい言葉を交換しよう」
先日、5歳の娘が突然こう言いました。

やさしい言葉って何のこと? と質問すると
「うれしい気持ち、やさしい気持ちになれる言葉のことだよ。
やさしい言葉をもらうと、嬉しくなって、自分も誰かにあげたくなるでしょ。
やさしい言葉は、もらった人もあげた人もハッピーになれる魔法の言葉なんだよ」と。

そして、この会話を以前別の人とも交わしたことを思い出しました。
私が以前働いていた高齢者の病院に入院されていた100歳の方との会話です。
その方が、同じことを仰っていたのです。

「言葉には力が宿っているんだよ。
言霊(ことだま)って言うでしょ?
だから言葉は大事に大事に使うんだよ。
暗い言葉、意地悪な言葉を使うと惨めになるよ。
やさしい言葉、明るい言葉を人にあげると、自分にも返ってくるし、本当にやさしくなれるんだよ。」

幼い子どもと超高齢者。
2人が指摘していることは、人との関わりの本質部分だと感じました。

私たちは成長するにつれ、知識や感情、理性や気遣いなど、多くの複雑なものを得ます。
それによって深く物事を考えられるようになるし、理解できるようにもなります。

それは喜ばしいことである反面、複雑に考えすぎてしまうことで、
かつて当たり前に欲しがったり、与えたいと思っていたことが
何かに隠れて見えなくなってしまうような気もするのです。

子どもは大人よりもストレートな表現ができますよね。
それゆえか、物事の本質をずばっと突くことを教えてくれることがあります。

一方、超高齢者はほぼ例外なく認知症になると言われています。
そうなった時、その方にとって大切なことだけが残っていくように思うのです。
理屈が薄れ、シンプルに大切なことを認識できる力が戻ってくるのではないかと、認知症の方との関わりを通して感じました。
このことについてはまだまだ話したいのですが、脱線してしまうので、またの機会にします。

この両者の言葉から私が思ったことは、私たち大人も、時にはもっとシンプルに感じたり考えたりしてみても良いのではないかということです。

「こんなことを言ったらどう思うかな?」
「私からの言葉なんて求めてないかな?」
「褒めてくれたけど、本当はそんなこと思っていないんじゃないかな?」
など、つい色々なことを考えすぎてしまうけれど、

やさしい言葉がほしい。
やさしい言葉をあげたい。
自分も相手も幸せだから。
だから、そうしよう。

ただこれだけで良いのではないかと思いました。

ちなみに、この2人の話は心理学の理論から説明することもできるのです。
「交流分析」と「ブーメラン効果」について指摘しているのです。
これについては、また別の機会にお話しますね。

でも、そんなことを知らない2人の説明の方が、ずっと分かりやすいなぁと思いました。