君は君のままで

「何者かになりたいんです」
ある人が、こう言いました。

今はまだ、自分が何者なのか分からない。だから自信が持てない......と

何者かになりたいという願望は、多くの人が抱えるもののように思います。
私自身も、10代、20代の頃は、何者かにならなければとずい分焦っていたような記憶があります。

しかし、何者かになるって、どういうことなのでしょうか?
何かの職業に就くこと?
誰かの「夫」や「妻」や「父」や「母」になること?
SNSで、たくさんの「いいね」がもらえること?
多くの収入や地位を手に入れられること?

たとえばそういったものが手に入ったら
何者かになれた自分に自信が持てるのでしょうか?

私の場合はどうだろうと考えてみました。
「あなたは何者ですか?」と問われた時、今の私は何と答えるだろうかと。

多分私はこう答えます。
「私は私です」と。
人に誇れるような特技も経験も経歴もありませんが、でも私は私だと答えると思います。

10代や20代の頃は私も、自分を形容する肩書きをたくさん持ち、誰かに合格印を押してほしくて必死になっていたように思います。
しかし、これが手に入ったら自信が持てるかもと思っていたものがいざ手に入ってみると、それによって自信が手に入るわけではないことに気がつきました。
そして永遠に終わりのない自分との闘いのように感じました。

そんな時、当時の大学院の指導教員の先生がこう言いました。
「君は君のままでいいんだよ。そのままの君で、進んで行きなさい」と。
そうか、それでいいんだと思った時の安堵の感覚を、今でも覚えています。
私の指導教員は、私が私でいることの自信を与えてくれたのだと感じました。

「何者かになりたい」
でも、既にあなたはあなたであること。
そのことを、誰も認めてくれないと思ったり
自分自身が認められないと思うなら
あなたがあなたでいることに自信が持てるまで、私たちと語りませんか?