安心して転ぶ

先日ある方がこう言いました。
ご本人の許可を得たのでご紹介します。

「新しいことを始めたら余裕もなくなるかもしれないし、不安定になるかもしれない。
でも、カウンセリングがあると安心して転べるって思う。」
安心して転べるという表現がとても素敵だなと思いました。

どうなるか分からないことに挑む時
転びたくないから踏み出せなかったり……
転ばないように安全な道を進んだり……
それも選択肢のひとつだけれど

転んでもいいからやってみたい。
でも転んだらどうなっちゃうか分からないから少しの安心が欲しい。
カウンセリングがそんな時のお守りになれるのであれば、そんな嬉しいことはありません。
それは私がgrytteを通してつくりたいもののひとつだからです。

私がgrytteをつくりたかった理由はいくつかあるのですが
誰もが自分のやりたいことに自由に挑戦できる、つまり安心して転べる社会に近づけるために、
自分には何ができるのだろうかと考えたことがそのひとつです。

最初にそう思ったのは、私の以前の勤務先で認知症の方と向き合った時でした。
やってみたいことがあってもできない。
危ないからと止められる。
ある認知症の方に「どうなってもいいから電車で旅がしたい。あなたが私をここから連れ出して」と泣いて訴えられた時、何もできなかった自分に悲しくなりました。

私は、「危ないからやめておこう」と言うよりも
やってみて転んだ時に「痛かったね、よく頑張ったね」と言いたいですし、そのために私ができることは何だろうとそれ以降度々考えています。

挑戦する時に、転ぶことの不安を強く抱いてしまうことも
何かあった時の責任を過度に追及することも
個人の問題だけではなく、社会の問題でもあるように感じました。

好きなことをやることも
新たなことに踏み出すことも
普通に生きていることだって
何かしらのリスクがありますよね。
そんな中で自分らしく生きることは、なかなか難しいことだと思います。

私に今できることは、私たちと関わってくださる皆さんの不安を受け止めたり、挑戦を支えることです。
でもそれだけではなく、もっと何かできることがないか私も探していきたいと思います。

「安心して転ぼう!」
この言葉は私にとっても勇気の出る言葉ですし、多くの方に伝えたいなと思います。
そしてそれを伝えるからには、私自身もたくさんのことに挑戦し、たくさん転んでいるところを皆さんにお見せできたらと思います。