機嫌よく生きる

いつもご機嫌な人がいます。
その一方で、たいてい不機嫌な人もいます。

機嫌のよい人が近くにいると、自分までつられて機嫌がよくなるし、機嫌のよい人と一緒にいると楽しいですよね。
幸福学の研究でも、幸せな人と関わると、関わった人の幸福度も上がることが分かっています。
つまり、機嫌よくいることはそれだけで、本人だけでなく誰かを幸せにしているということになります。

その反対に不機嫌な人が近くにいると、何か怒られそうだなと感じたり、火の粉が降りかからないように警戒して疲れたり、不機嫌な人の態度にイライラして自分も不機嫌になるなんてこともありますよね。
不機嫌もまた、本人だけでなく関わった人も不機嫌にさせてしまうことが多いですね。

ですので、できることならいつも機嫌よく過ごしたいですよね。

哲学者のニーチェは、こんな言葉を遺しています。
「不機嫌になる大きな理由の一つは、自分のなしたこと、自分の産んだことが人の役に立っていないと感じることだ。
したがって、いつも機嫌よく生きていくコツは、人の助けになるか、誰かの役に立つことだ。そのことで自分という存在の意味が実感され、これが純粋な喜びになる。」(『人間的な、あまりに人間的な』Selbstheit 016より)

人の役に立てることで自分の存在意義を実感できる。
シンプルに、それが人間の本質ではないかと私は思います。

では、不機嫌になってしまう時ってどんな時でしょう?

自分の頑張りに誰も気づいてくれない時?
自分ばかりが大変な仕事をしているように感じる時?
自分が寂しい思いをしているのに誰からも優しい言葉をかけてもらえない時?
自分の思い通りに物事が進まない時?
不機嫌になる状況に共通しているのは、意識が「自分」に向いていることのように感じます。

してほしいことがあるのにしてもらえない。
注意を向けてほしいのに向けてもらえない。
そんな寂しさや怒りでいっぱいになってしまうのかもしれません。

しかし残念ながら、不機嫌になればなるほど、周囲の人は離れて行ってしまい、ほしいものは得られず余計に寂しくなってしまいます。
それに対していつもご機嫌な人は、意識が「誰か」に向いていることが多いように感じます。

あの人を喜ばせてあげたいな。
美味しいお菓子が手に入ったから、〇〇さんにも分けてあげよう。
次の休日は子どもの好きなことにつきあってあげよう。喜んでくれるだろうな。
元気がない同僚を励ましてあげたいな。どんな言葉をかけようかな。
たとえばこんなふうに誰かを喜ばせたり役に立つための方法を考えることでワクワクしたり、実際に喜んでもらえて嬉しくなってご機嫌になれるのだと思います。

つまり、不機嫌な時は誰かに与えてもらうのを待っている受動的な状態であるのに対し、ご機嫌な時は誰かのために考えたり行動したりしている能動的な状態なのだと思います。

機嫌のよさは、誰かが与えてくれるものではなくて、自分でつくり出せるものだと思います。
誰かの役に立てることは誰にだって必ずあります。
つい不機嫌になってしまう時は、「誰かの役に立てる自分」に自らなれば良いのだと思います。

さて、あなたは毎日を機嫌よく過ごせていますか?
もしそうではないようなら、あなたの近くにいる誰かを喜ばせたり役に立てたりすることをしてみませんか?
ほんの些細なあなたの言葉や行動に、喜びを感じてくれる人はたくさんいるはずです。

笑顔で同僚の名前を呼んで挨拶をする。
今日も良く頑張ったねと家族に声を掛ける。
友人の良いところを言葉にして伝える。
そんなちょっとした行動が、あなたの周囲の人やあなた自身をご機嫌にさせてくれるのだと思います。

私も、ご機嫌な人でいるために、みなさまの役に立てることをたくさん探していきたいと思います。