美容室と歯医者さんとカウンセリング

先日、カウンセリングを受けに来てくださっている方と、こんな話をしました。
その方の了承を得たので、ご紹介させていただきますね。

「髪が伸びたら美容室にメンテナンスに行きますよね。
歯医者さんにもクリーニングや定期健診に行きますよね。
カウンセリングもそうなんだって思ったんです。」

その方は、たくさん悩んで、もうどうにもならないと思って医療機関を受診したそうです。
その後主治医に勧められて、ようやくカウンセリングまで辿り着けたのだと話してくださいました。
悩んで悩んで悩み抜かないと、病院を受診したりカウンセリングを受けたりすることなど駄目だと思っておられたのでしょう。

そしてカウンセリングを受け始めてしばらく経った時、こんなふうに仰っておられました。
「自分はカウンセリングを受けることのハードルがすごく高かったけれど、こんなに悩む前にもっと気軽に受けることができていたら、ここまで悪化しなかったと思う。
自分一人で考えていたら、すごく狭い視野(世界)の中でずっともがき続けていたのだろうなと思うと、ぞっとする。
美容室や歯医者さんに通うように、心も定期的にメンテナンスすることが必要で、カウンセリングはそのための時間だ。」と。

その通りだと思いました。
その方は実際にカウンセリングを体験して、カウンセリングを受けたことがないけれど悩んでいる誰かのことや、社会のことを想ってそんな感想が出たのかなと感じました。
その感想が素敵だなと思ったので、皆さんにもお伝えしたくなりました。

カウンセリングは、悩んで悩んで悩み抜いた時にようやく利用できるようなものではなく、そうならないためにもっと気軽に利用できるものにしていかなくてはいけないと思います。

しかしまだまだ日本においては、カウンセリングの敷居は高く、多くの人にとって気軽に利用できるものではありません。
私は、それをどうにかして変えていきたいのです。
カウンセラーは、悩みを抱える皆さんの最後の砦として存在するのではなく、もっと全ての方の日常の中にいる存在になりたいです。

悩みをもっと気軽に専門家に相談できる文化をどのようにしてつくっていくか、これは一人の心理士として、grytteの代表として、私が取り組むべき課題のひとつだと思っています。