おすすめの絵本③

今回おすすめする絵本はこちらです。

タイトル:ころべばいいのに
作:ヨシタケシンスケ
発行所:ブロンズ新社


あなたは、嫌いな人がいますか?

嫌いな人にされたこと、言われたことを思い出して
嫌な気分になることってありませんか?
そんな時、あなたはどうしていますか?

この本の主人公は小学生の女の子なのですが、
私たち大人も、人間関係の中で、誰かの言葉や態度に傷ついたりイラっとすることってありますよね。

そんな時、この主人公の発想や行動が逞しくて面白くて、とても参考になるので、
人間関係のストレスで悩んでいる方は、試しに真似してみてほしいなと思います。

この本の中で私が好きなところは書ききれないほどたくさんあるのですが、
いくつかご紹介させてください。

『イヤなきぶんって たとえるとしたら どんなかんじかな。「とつぜんの どしゃぶり」みたいなものかしら。
だって じぶんでは どうしようもないもの。 ぬれると さむいし、 なにもかも グシャグシャになっちゃうし。
あめみたいなものだとしたら、あめが あがるまで ちゃんと ひなんできる ばしょが ひつようってことよね。
わたししか しらない わたしだけの かくれがを いつかきっと、ちゃんと つくろう。』

突然の土砂降りも、嫌な気分も、自分ではコントロールできませんよね。
だから、そんな時は土砂降りの雨が止むまで、避難して楽しく過ごせる場所があったらいいですよね。
つまり、「かくれが」とは、心の拠り所のことなのでしょう。

それから、主人公は、嫌いな人や嫌なことはいつやってくるか分からないから、
すぐに自分を励ませるものを準備しておかないといけないと言っています。

カウンセリングでも同様のことをするのですが、私はそれを「コーピングリストの作成」と言うのに対し、この主人公は「はげましセット」と呼んでいます。
「はげましセット」の方がかわいいのですね。


それからそれから、このセリフも好きです。

『アイツを きらうパワーを つかって おもしろいことを たーくさん かんがえるんだ!』

この考え方、良いなぁと思いませんか?
嫌いになっちゃいけない、でも
あの人が悪い、でもなく
誰かを嫌うパワーを使って自分が楽しくなれるなら、
誰かを嫌ってしまう気持ちすら、自分の助けになってくれそうで、尊重したくなりますね!


そして、一番好きなのが最後セリフです。
『きっと このさき、 おとなになっても きらいなひとは いるかもしれない。でも、いたっていいわよね。だって、ちゃんと かんがえたり、ちゃんと そのばしょから にげたり、ちゃんと むかいあったり。 どうするかは じぶんで きめられるんだもんね。 ちゃんと、できるようになろうっと。』

つまり、どうするかはその都度自分でちゃんと決めて良いのだと言っているのです。

誰かを嫌いにならないことでも、
気分を完全にコントロールすることでもなく、
その都度自分で決める、ということが大切だと伝えてくれていますね。