「楽しさ」は自分でつくり出せる

皆さんは、どんな時に笑いますか? そんなの楽しい時に決まっているでしょ!? と思われるでしょうか。もちろん、楽しい時には笑顔になれますよね。しかし、実は笑うことによって楽しい気持ちをつくり出すこともできるのです! 

「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」とは、19世紀に活躍した心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉です。この名言には心理学的な裏付けがあり、「アズイフの法則」とも呼ばれます。つまり、笑うという行動を取ることによって、楽しいという感情が引き起こされるのです。アズイフとは「〇〇のように」という意味の熟語で「〇〇のように振る舞えば、〇〇になれる」という話です。例えば、「幸福」という心理状態をイメージして、まるで幸せで満たされた人のように振る舞ってみると自然と幸せな気分になれるというものです。逆に、「つまらない」と思って振る舞えば、本当につまらなくなってしまうということです。
アトランティック大学の実験でも、「大股で歩いた人たちの方が、のろのろ歩いた人たちより幸福感を感じる度合いがはるかに高かった。」という結果も報告されています。私たちの脳は、体の動きを読み取って、それに合わせた心の動きを呼び起こします。足どりを少し変化させるだけでも、心の状態に大きな影響を及ぼすのです。

私も、このアズイフの法則をなるべく意識するようにしています。楽しいことがあったわけではなくても笑ってみたり、楽しそうに振舞ってみたりしています。そうするとなぜか楽しくなってくるのです。これは不思議です。誰かと一緒にいる時も、こちらが笑っていたら、相手もつられて笑ってくれて、何だかよく分からないけれど楽しい時間になることはよくあります。楽しさや幸福を与えてもらうことや、偶然それが起きることを待つのではなく、自分で意識的につくり出せるなんて、素敵だと思いませんか?

カウンセリングの中でも、楽しいことなど何もないといったことをよく聴きます。その時、多くの方は辛くて悲しい顔や苦しい顔をしています。そんな時は、私たちと一緒に笑ってみませんか? とにかく笑ってみる。幸せそうに振舞ってみる。そんな練習をして、楽しい気持ちをつくりましょう。